
nanoMAG®で破断解消!! 引張強さ2000MPa級の軟磁性材料
電子機器メーカー様より、高強度Cu合金を使用中の部品において、小型化・軽量化を検討中とのことで当社に材料のご相談をいただきました。
電子機器部品の小型化・軽量化のため素材厚みを薄くしたいが、従来材の高強度Cu合金では強度、成形性の面でこれ以上の薄肉化が難しい
開発納期が迫っているのにまだ材料さえ決まらない…
加工後も磁性を帯びにくく、強度・加工性も良好な非磁性ステンレス鋼
「TOKKIN 305M」をご提案
【品質】素材厚みを薄くでき、部品の小型化・軽量化に貢献
【納期】小ロット&スピーディな試作で開発納期に間に合いました
もともとコルソン合金を使用されていました。
コルソン合金は、非磁性かつ銅合金の中でも強度がある材料ですが、強度や曲げ部の割れを懸念し、これ以上素材厚みを薄くできないという課題がありました。
強度や成形性の面でオーステナイト系ステンレス鋼SUS304を検討するも、電子機器内の磁気の影響を受ける箇所に使われるため、部品加工後も安定した非磁性を保つ必要があることから、SUS304を検討から除外された背景がありました。
また、エンドユーザー様からの開発納期も迫っていたため、仕様の選定から試作まで短納期で進めなければらず、お困りのご様子でした。
ちょこっとメモ
SUS304は焼鈍状態であれば非磁性ですが、冷間加工などの加工により組織変態が起こり、磁性を帯びるようになります。
関連記事|加工すると磁性が発生してしまう
加工後も磁性を帯びにくく、強度・加工性の高い、 非磁性ステンレス鋼「TOKKIN 305M」をご提案しました。
今回は加工後も非磁性を維持できることが求められておりました。
TOKKIN 305Mは、JIS規格のSUS305の範囲内でNi(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)などの成分を高めに調整することで、一般的なSUS305と比較し、加工による組織変態が起きにくく、非磁性を維持できるようなステンレス鋼です。
TOKKIN 305Mは、焼鈍仕上げでは伸び率40~60%、強圧延仕上げでは引張強さ900-1200MPaです。
最適な伸びと強度バランスにすることで、強度を維持しつつ曲げ加工もでき、従来より厚さを薄くすることができると考えました。
材料ご提案後は、複数回にわたる試作を行い、最適な仕様に調整させていただきました。
少量、短納期での試作材製造となりましたが、複数回にわたるすり合わせにより、納得いく仕様(板厚、強度、伸び、表面仕上げなど)を決めることができました。
関連資料|TOKKN 305M の技術資料をダウンロードする(一般的なSUS305、SUS316Lとの比較もこちら)
関連記事|ステンレス鋼の磁性と強度の関係 ~高強度で非磁性なステンレス鋼はあるのか?~
本記事でご紹介した「TOKKIN 305M」の詳細ページです。加工率と透磁率の関係をあらわしたグラフも掲載されています。
TOKKIN 305M以外にも、加工をしても磁性を帯びにくい「非磁性ステンレス鋼」を各種製造しています。ラインナップを掲載しています。
当社の対応力について概要を掲載しております。 少量ってどれくらいから?どこまでカスタムメイドができるの?ぜひご確認ください。
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