
当社のステンレス箔・金属箔の最薄板厚は?
冷間圧延による鋼種別の製造実績と加工技術を解説
応力腐食割れとは腐食環境下において材料に応力が作用することで発生する割れのことをいいます。
この記事では、応力腐食割れの発生原因やメカニズム、対策などについて解説しています。
応力腐食割れとは、、腐食環境下において材料に応力が作用することで発生する割れのことをいい、
Stress Corrosion Crackingを略してSCCとも呼ばれます。
応力腐食割れの特徴として、
などが挙げられます。
応力腐食割れは、「環境因子」「材料因子」「力学的因子」の3つの要素が揃った際に発生します。
応力腐食割れは特定の材料で発生する現象です。
起こりやすい材料としては、SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼、黄銅(銅合金)、アルミニウム合金などげ挙げられ、純金属では極めて発生しにくいといわれています。応力腐食割れを引き起こす物質として、塩化物イオンや水酸化物イオンなどが挙げられますが、
材料により原因となる物質は異なります。
以下に、応力腐食割れを引き起こしやすい原因物質と材料の組み合わせ例を示します。
| 鋼種 | 原因物質 |
|---|---|
| 炭素鋼 | 硝酸イオン(NO3-) |
| 水酸化物イオン(OH-) | |
| オーステナイト系ステンレス鋼 | 塩化物イオン(Cl-) |
| 水酸化物イオン(OH-) | |
| ポリチオン酸 | |
| 高温高圧水 | |
| Cu合金 | アミン |
| アンモニア(NH3) | |
| Al合金 | 塩化物イオン(Cl-) |
応力腐食割れは、一般に圧縮応力では発生しないといわれており、外部から加わる引張応力や熱処理や溶接、加工などにより発生する残留応力が原因となり発生します。
応力腐食割れは、一般に溶液中にあるイオンの影響などにより局所的に材料表面の不働態被膜が破壊されることから始まります。

不働態被膜が破壊された箇所は酸化反応(アノード反応)、その他の場所では還元反応(カソード反応)がおこり孔食が形成されます。
そこに引張の応力が加わることで、き裂が発生、進展します。
そして、き裂した箇所が腐食➡さらに亀裂が進展 というサイクルを繰り返すことで応力腐食割れは進行し、最終的に破断にいたります。
また、き裂の進展形態は、結晶粒を貫通するように亀裂が進展する「粒内割れ」と結晶粒の境界に沿って進展する「粒界割れ」の2種類に分類することができ、
粒内割れを起こす応力腐食割れを「粒内型応力腐食割れ(Intergranular Stress Corrosion Cracking: IGSCC)」
粒界割れを起こす応力腐食割れを「粒界型応力腐食割れ(Transgranular Stress Corrosion Cracking: TGSCC)」といいます。
それぞれの特徴は以下の通りです。
結晶粒内を貫通して亀裂が進行する応力腐食割れのことをいいます。
塩化物環境下にあるステンレス鋼でよく見られる現象です。
結晶粒界に沿って亀裂が進行する応力腐食割れのことをいいます。
鋭敏化を起こしたオーステナイト系ステンレス鋼でよく見られる現象です。
ちょこっとメモ
ステンレス鋼を約400~800℃の温度範囲に長時間さらすと、鋼中の炭素とクロムが結合して結晶粒界にクロム炭化物が析出します。
このとき、クロム炭化物の周囲ではクロム濃度が低下した層(Cr欠乏層)が形成されます。
Cr欠乏層では不働態被膜が形成されにくくなるため、粒界の耐食性が低下します。
このように、粒界が選択的に腐食されやすい状態になることを鋭敏化(Sensitization)と言います。
応力腐食割れは、前述のように「環境因子」「力学的因子」「材料因子」の3要因が揃った際に発生するため、
この要因のいずれか一つを取除くことで応力腐食割れの発生を抑制することができます。
環境面では、腐食環境を避けることが有効な対策となります。
主な対策として以下のものが挙げられます。
腐食を発生させる原因となる有害イオンを除去することで、
応力腐食割れの進行を防ぐ、または遅らせることができます。
特にステンレス鋼においては、不働態被膜の破壊を進行させる塩化物イオンを除去することが非常に有効です。
溶存酸素は、金属材料の酸化剤として働き、腐食を加速させる作用があります。
そのため、脱気などにより溶存酸素量を低下させることも腐食の発生抑制に効果的です。
引張り残留応力を低減することで、応力腐食割れの発生を抑制することができます。
残留応力を低減させる方法として以下のものが挙げられます。
A1変態点以下の比較的低温で材料を加熱し、
保持した後に空冷、または徐冷を行う熱処理のことをいいます。
組織を変えることなく、加工や溶接によって生じた残留応力を除去することができます。
鋼球を高速で金属表面に衝突させる表面処理のことをいいます。
この処理により材料表面に圧縮残留応力が付与され、応力腐食割れの原因となり得る
引張応力を緩和する効果があります。
IHSIは、主に原子力発電所などで使用される配管の内面を水流で冷やしながら、
同時に外面を高周波誘導コイルで加熱する処理です。
温度差による発生する熱応力を利用して管内面に圧縮応力を付与しすることで、
残留応力を低減します。
き裂の発生や進行となる要因が発生しない材料を選定することで、応力腐食割れを抑制することができます。
炭素(C)は鋼中のクロム(Cr)と結合してクロム炭化物を形成し、
結晶粒界近傍にCr欠乏層を生じさせるため、C含有量を低減する。
例)SUS304L, SUS316Lなど
Crよりも先に炭化物を生成するニオブ(Nb)やチタン(Ti)を添加する。
例)SUS321など
応力腐食割れの発生するオーステナイト系ではなく、
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