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炭素鋼(S15C, S45C, S50C, S55C, S60C)

coil2
主な用途

時計部品、自動車部品、ワッシャー(座金)、事務機、電気、機械等の構造部品やバネ、クラッチ部品、トムソン刃、ベアリング部品


製造範囲

板厚: 0.010~2.5mm

幅  : 3~300mm

製造工場

日本


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製品概要

炭素鋼は炭素工具鋼より炭素量が低めで、不純成分の規制も緩やかになっており、ある程度の強度と粘り強さを必要とするような一般的な用途に適しています。

炭素量の低いものは生材の加工性はよくなりますが、焼入のムラが生じ易いので温度管理、冷却方法等の注意が必要です。

 

本項の炭素鋼(S15C, S45C, S50C,S55C, S60C) 及び 炭素工具鋼(SK2, SK4, SK5, SK6, SK7)の概要につきましては、特殊鋼・炭素鋼共通ページに纏めてありますので、こちらも比較検討の参考に是非ご覧下さい。

 

特徴

炭素鋼は特殊鋼の中では硬度が低く、また粘り強いので、ある程度の強度が必要な構造部品に使用されます。

規格

JIS及び

弊社記号

国際規格

ISO

683/1,11,14

アメリカ

AISI

SAE

イギリス

BS 970 PART1,3

BS EN 10083-1,2

ドイツ

DIN EN 10084

DIN EN 10083-1,2

フランス

NF A 35-551

NF EN 10083-1,2

ロシア

ΓOCT

4543

S55C

C55

C55E4

C55M2

1055

070M55

C55

C55E

C50R

C55

C55E

C50R

C55

C55E

C50R

-

S50C

C50

C50E4

C50M2

1049

080M50

C50

C50E

C50R

C50

C50E

C50R

C50

C50E

C50R

50Γ

S45C

C45

C45E4

C45M2

1045

1046

C45

C45E

C45R

C45

C45E

C45R

C45

C45E

C45R

45Γ

S35C

C35

C35E4

C35M2

1035

C35

C35E

C35R

C35

C35E

C35R

C35

C35E

C35R

35Γ

S15C

C15E4

C15M2

1015

C15

C15E

C15R

C15E

C15R

C15E

C15R

-

 

化学成分

〔注〕記号末尾のMはJISみがき特殊鋼該当鋼種(以下Mは省略いたします)

種類

鋼種名

化学成分(%)

C

Si

Mn

P

S

Cr

Ni

その他

炭素鋼

JIS G 3311

(4051)

 S70CM 

0.65~

0.75

0.15~

0.35

0.60~

0.90

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

Cu

≦0.30

 

 

 S60CM 

0.55~

0.65

0.15~

0.35

0.60~

0.90

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

 S55CM 

0.52~

0.58

0.15~

0.35

0.60~

0.90

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

S55C~

S15C

 

Ni+Cr

≦0.35

 S50CM 

0.47~

0.53

0.15~

0.35

0.60~

0.90

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

 S45CM 

0.42~

0.48

0.15~

0.35

0.60~

0.90

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

 S15CM 

0.13~

0.18

0.15~

0.35

0.30~

0.60

≦0.030

 

≦0.035

 

≦0.20

≦0.20

 

特金のメリット

◎高い品質と信頼性をお届けします

一般材では出来ない厳しい板厚公差により、強度や部品寸法の安定性が得られます。

また、製造工程の厳重管理によりロット毎のばらつきを低減、高い信頼性をお約束します。

 

◎極薄箔も製造いたします

弊社では板厚0.010~0.099mmの極薄箔の製造が可能です。

 

◎小ロットにも柔軟に対応いたします

弊社では標準300㎏で製造可能です。

またご相談頂ければさらに小ロットも検討可能です。

(対応可否はその時々にもよりますので、都度、ご確認下さい。)

 

◎ご希望の硬さに調整いたします

オーダーメイドで製造を行なっておりますので、希望の硬さに調節することが可能です。

 

◎表面肌をお選び頂けます

圧延ロールを変更することにより、ブライト仕上(光沢あり) か ダル仕上(梨地模様)をお選び頂けます。

また、ご指定によりヘアライン研磨(外注)も対応致します。

物理的性質

鋼種名

密度

g/cm3

比熱

J(㎏・K)

熱膨張係数

(0~100℃)10-6/K

熱伝導率

W/(m・K)

電気抵抗

μΩ・㎝

ヤング率

N/m㎡

鋼(Fe-0.8C)

代表値

7.84

490

11.0

50.2

18

208000

 

機械的性質

硬さ・引張強さ   曲げ加工性   絞り加工性  

 

1. 硬さ・引張強さ

通常、みがき特殊鋼は圧延された状態(圧延仕上またはロール仕上)のままで供給されていますが、

弊社は最も軟らかい焼鈍仕上から最も硬い強圧延仕上まで製造することが可能です。

その為、ご希望/ご用途に合わせて最も適した仕上げをお選びいただけます。

鋼種

仕上状態

硬さ試験

引張試験

HV

引張強さN/m㎡

伸び%

S60C

S55C

S50C

S45C

S15C

焼鈍仕上

140~180

410~610

28~39

スキンパス仕上

155~195

460~655

16~36

ロール仕上

230~270

705~900

3~17

強圧延仕上

250~290

775~970

1~5

 

<<仕上の定義と一覧>>

弊社の仕上の定義は下記の通りです。

仕上状態

仕上圧延率

焼鈍仕上

-- (焼鈍のまま)

スキンパス仕上(軽圧延仕上)

5%以内

ロール仕上(圧延仕上)

15-40%

強圧延仕上

35%以上

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2. 曲げ加工性

1. 軽い曲げ加工の場合は圧延仕上のものが使われることもありますが、通常焼鈍仕上、又はスキンパス仕上のものが使用されています。 

2. 帯鋼は一般的に方向性があり、特に圧延仕上のものは方向性が強いので、圧延方向に平行な曲げは避け、できるだけ圧延方向に直角または交差するような、曲げが出来る板取を考える必要があります。

3. 切断、せん段、加工後、かえりが曲げ外面にでるような曲げ加工を行いますと、かえり部から亀裂が入ることがありますので、かえり部を曲げない面にする、またはかえり取りの後に曲げ加工を行うなどの配慮が必要です。

4. 曲げ加工の際、材料のスプリングバックは加工の程度、材料の仕上状態によっても異なりますが、型、加工法により適当な補正が必要です。

5. 曲げ加工性は材質、加工条件により異なりますが、仕上状態別におよそ次の程度の加工が可能です。

  (主としてSK5以下の低炭素鋼を対象とします)

 

仕上状態

厚さ1mm未満

厚さ1mm以上

焼鈍仕上

 

 

スキンパス仕上

 

 

圧延仕上

 

 

[注] t…板厚 R…曲げの内側半径  

[参考] 曲げ力概算

 

V型ダイス

 P=0.6bt2σB/L

U型ダイス

 P=0.6bt2σB (1+t / L )

[注] t…板厚 b…板幅 L…ダイス溝幅 σB…材料の引張強さ

 

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3. 絞り加工性

 絞り加工は、軽度のものとは別として、通常全方向に対する均一な絞り性が必要とされるため、焼鈍仕上またはスキンパス仕上のものが使用されています。

 みがき特殊帯鋼は、軟鋼のような著しいストレッチャーストレイン現象はありませんが、絞り限界は低めで、深絞りの場合は中間焼鈍を施して再絞りを行います。

 

 

普通平板絞りの場合:絞り率=0.4  再絞りの場合 絞り率=0.6 とされております。

 

絞り率= d / D 

d…絞られる製品の直径  D…絞る前の円板の直系

 

[参考] 絞り力概算式(丸絞り)

P=ndtσBm

[注] t…板厚  m…補正係数(普通0.4~1.0)  σB…材料の引張強さ

 

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焼入れ温度

鋼種

焼入温度(℃)

S70C

790~850油冷 

S60C

800~860水冷 

S55C

800~860水冷 

S45C

800~850水冷 

S15C

800~860水冷 

 

代表的鋼種の焼入焼戻性能曲線

 

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特殊鋼の熱処理環境・注意について

熱処理上の注意   炉温と材料温度   前処理と雰囲気  

焼入れ      焼戻し        焼鈍  

 

1. 熱処理上の注意

みがき特殊帯鋼は、ほとんど全てのものが用途に応じ適当な焼入焼戻の熱処理を施して使用されています。

この熱処理過程においてご注意いただきたい点は、以下の通りです。

 

(1)  適正な条件で均一な加熱、冷却を行なうこと

(2)  脱炭、スケール生成、高温腐食等を極力防ぐこと

(3) 焼入歪を最小にするような焼入法をとること

 

 

2. 炉温と材料温度

一般に熱処理を行なう場合、熱処理炉の炉温を測定し、それを材料加熱温度としていますが、

真の材料温度と測定炉温との間に大きいズレやムレが生ずることがありますので、

温度特性をよく調べて適当な温度補正や熱処理法の変更を行なう必要があります。

 

3. 前処理と雰囲気

みがき特殊帯鋼は、高炭素になるほど脱炭しやすく、特に焼入のような高温加熱の場合は危険が増大します。

材料に汚れや異物が付着したまま加熱しますと高温腐食が生じます。このため熱処理にさきだって、

材料表面を清浄にする前処理や炉内雰囲気を調整することが必要です。

炉内雰囲気として標準的なものは焼入れにはRXガス、焼鈍にはNXガスですが、この他N2ガス、H2ガス、

AXガス等も使われています。

また中性塩浴炉、金属浴炉や炉心管、ケース等を使用して直接外気に触れないようにする方法もとられています。

 

4. 焼入れ

焼入には、通常上記準備焼入温度のほぼ中心値を選んで材質、寸法、形状、要求される性能、焼入方法等に応じ数十秒ないし数分間保持します。焼入れ条件は製品性能に大きく影響し焼入温度が高すぎたり、保持時間が長すぎたりしますと結晶粒の粗大化や靭牲の低下をきたし、また脱炭の危険も増えますし、逆の場合は完全に硬化しなかったり、一部軟点を生じたりしますので適正な条件を選ばなければなりません。

 

冷却には一般に油または水が用いられます。水冷の方が油冷よりも硬く焼が入りますが焼入歪、焼われ等の危険があるため、みがき特殊帯鋼の場合は一部特例を除き、油冷が採用されています。

 

焼入歪を防止するため油温を高めてマルテンパー処理を施したり、特殊な例では塩浴、金属浴中への焼入(オーステンパー処理)も行なわれています。また、リボン状の材料や単純な形状の場合は、定盤焼入やプレクスエンチング等が行なわれています。

 

焼入温度は、上表参照下さい。

 

5. 焼戻し

焼入を行なった材料は硬度は高くなりますが、粘り気が無くもろい状態になってしまうため、

粘り気と強度を持ち合わせた材料に仕上げるため、必ず焼戻を施さなければなりません。

焼戻条件は各々の製品が要求する性能に応じ、テストやその鋼種の焼入焼戻性能曲線等を参考にして選びます。

みがき特殊帯鋼の場合、質量が小さくまた連続的な焼戻作業が行なわれることが多いので、焼戻時間としては特に粘り強さを必要とする場合に長時間焼戻を行なうこともありますが、一般的には数分以内の短時間焼戻を行なっている場合が多いようです。また連続作業上、短時間しかとれない場合、焼戻温度をやや高めにしたり繰り返し焼戻を行なうこともあります。

しかし焼戻は、原則として高温短時間で行なうより低温長時間で行なう方が靭性が大きくなりますので、

必要以上に焼戻炉を短くしたり、焼戻温度を高くしすぎたり、時間を短くしたりすることは避けなければなりません。

また、油浴、金属浴、塩浴等により焼戻を行なう場合は、空中焼戻よりも時間を短縮することができます。

代表的な鋼種の焼入焼戻特性は次図の通りです。

 

6. 焼鈍

材料の軟化や歪取りのため焼鈍を行うことがありますが、この焼鈍温度としては600~700℃が適当です。

温度が高すぎると組織が変化したり、脱炭やスケール発生の危険が生じますので、一般にはやや低めの温度を選んだ方が無難です。

600~700℃では数分~30分位保持し、その後は200℃位まで徐冷します。なお、200℃以下の温度では放冷しても差し支えありません。

 

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