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【基礎知識】みがき特殊帯鋼の種類、特長、用途、材料記号の意味について

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【基礎知識】みがき特殊帯鋼の種類、特長、用途、材料記号の意味について

みがき特殊鋼とは?みがき特殊鋼の種類や、それぞれの鋼材の特徴、記号の意味、関連するJIS規格などについて解説します。

みがき特殊帯鋼とは

みがき特殊帯鋼とは、熱間圧延後に冷間圧延を施した材料であり、JIS規格(JIS G3311:2021)によると幅600mm未満の帯鋼、または切板と定義されています。
また、用途に応じて冷間圧延後に焼なまし(熱処理)を行うことが可能であり、寸法精度に優れ、美しい表面肌をもつことが特徴です。


みがき特殊帯鋼の種類

JIS規格(JIS G3311:2021)ではみがき特殊帯鋼として、炭素鋼(9種類)、炭素工具鋼(6種類)、合金工具鋼(6種類)、クロム鋼(3種類)、ニッケルクロム鋼(3種類)、ニッケルクロムモリブデン鋼(4種類)、クロムモリブデン鋼(4種類)、ばね鋼(3種類)、マンガン鋼(2種類)
の合計40種類が規定されています。


みがき特殊帯鋼の分類と種類の記号(JIS G3311:2021による)

横にスクロールしてご覧いただけます。

炭素鋼 S30CM
S35CM
S45CM
S50CM
S55CM
S60CM
S65CM
S70CM
S75CM
炭素工具 SK120M
SK105M
SK95M
SK85M
SK75M
SK65M
合金工具鋼 SKS2M
SKS5M
SKS51M
SKS7M
SKS81M
SKS95M
ばね鋼 SUP6M
SUP9M
SUP10M
クロム鋼 SCr420M
SCr435M
SCr440M
ニッケルクロム鋼 SNC415M
SNC631M
SNC836M
クロム
モリブデン鋼 
SCM415M
SCM430M
SCM435M
SCM440M
ニッケルクロム
モリブデン鋼 
SNCM220M
SNCM415M
マンガン鋼 SMn438M
SMn443M
   



鋼材の特長

炭素鋼(SC材)

特徴

炭素鋼は炭素工具鋼より炭素量が低目で、不純成分の規制も緩やかになっております。
ある程度の強度と粘り強さを必要とするような一般的な用途に適しています。
炭素量の低いものは、生材の加工性はよくなりますが焼入のムラが生じ易いので温度管理、冷却方法等の注意が必要です。

主な用途

事務機、電気、機械等の構造部品やバネ、座金、クラッチ部品、トムソン刃、ベアリング部品等に使われます。

当社取り扱い鋼種

S20CM, S45CM, S50CM


炭素工具鋼(SK材)

特徴

炭素工具鋼は、加工前または加工後に熱処理を行なうのが一般的であり、焼入れ・焼き戻しを行うことで硬度を高めることができます。また、その加工性、焼入性、製品性能、価格等の理由から、みがき特殊帯鋼のなかで最も広く使われています。
炭素量の高いものほど焼入後の硬さが上がるため、刃物類には炭素量の高い鋼種が選定されます。
汎用的な用途で入手性を求めるのであれば、流通量の多いSK85MやSK95Mを選定されることをお勧めいたします。


主な用途

刃物、切削具、工具のように硬いものからバネ、ゼンマイ、メリヤス針、ホーン、メジャーテープ、座金のように弾性や靱性を必要とするものまで、あらゆる分野に使用されます。


当社取り扱い鋼種

TE2(SKS81相当), SK95M(SK4M), SK85M (SK5M)


合金工具鋼(SKS材)

特徴

炭素工具鋼にタングステン、クロム、バナジウムなどを添加した合金鋼であり、炭素工具鋼に比べ、耐熱性、耐磨耗性、耐衝撃性に優れています。また、硬度が高いため加工性はあまり良くないのも特徴です。


主な用途

カッター、ハクソー、メタルバンドソーといった刃物、切削工具や、たがね、ポンチなどの耐衝撃工具に使われています。


クロム鋼(SCr材)

特徴

炭素鋼にクロム(Cr)を添加した合金鋼であり、耐摩耗性、焼入れ性に優れています。
低炭素クロム鋼は、肌焼鋼として使用されます。


主な用途

自動車部品、ボルト、工具、歯車等に使われています。


クロムモリブデン鋼(SCM材)

特徴

炭素鋼にクロム(Cr)とモリブデン(Mo)を添加した代表的な構造用合金鋼で、焼入、焼戻を行なうことによって中程度の強度と粘り強さが得られる材料です。これらの素材は硬さも低く加工性に富んでおり、焼入性もよく、多少冷却速度が遅くても焼が入り、歪の発生も少なくなります。


主な用途

事務機、電気、機械部品、トムソン刃、チェーン部品等に使われています。


ニッケルクロム鋼(SNC材)

特徴

炭素鋼にクロム(Cr)、ニッケル(Ni)を加えた合金鋼です。Niを加えることにより靭性を向上させており、耐食性、耐摩耗性に優れています。また、焼鈍を行うことで加工性が向上します。


主な用途

車軸、シャフト、歯車などに使用されています。


ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM材)

特徴

炭素鋼にニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)を添加した合金鋼であり、焼入れ性、靭性、強度に優れています。Niを添加しているためSCM材と比べてコストはあがりますが、機械構造用合金鋼のなかでは、最も機械的特性に優れています。


主な用途

強度が求められる大型軸類や精密歯車、航空部品などに使用されています。


マンガン鋼(SMn材)

特徴

炭素鋼にマンガン(Mn)を添加し、引張強さ、伸びを向上させた合金鋼です。

価格も合金鋼のなかでは比較的手ごろなのが特徴です。


主な用途

ボルトやチェーン部品、ボールジョイント等に使用されています。


ばね鋼(SUP材)

特徴

主にばねとして使われることが多い材料であり、高い弾性限と耐疲労限に優れているのが特徴です。


主な用途

コイルばね、板バネ、トーションバーなどに使用されています。


種類の記号

材料記号は数字とアルファベットの組み合わせで表記されていますが、アルファベットと数字は以下のような意味を持っています。

炭素鋼(SC材)

炭素鋼の記号と数字の意味

工具鋼(SK材)

炭素工具鋼の数字と記号の意味

合金工具鋼(SKS材)

合金工具鋼の数字と記号の意味

ばね鋼(SUP材)

ばね鋼の数字と記号の意味

構造用合金鋼(SMn材、SCM材、SCr材、SNC材、SNCM材)

構造用合金鋼の数字と記号の意味

関連するJIS規格

横にスクロールしてご覧いただけます。

規格番号 規格名 説明 この規格で規定される鋼種記号※
JIS G4051 機械構造用炭素鋼鋼材 熱間圧延、鍛造、押出などによって製造する機械構造用炭素鋼鋼材 炭素鋼:S10C~S75C
はだ焼用鋼:S09CK~S20CK
JIS G4053 機械構造用合金鋼鋼材 熱間圧延、鍛造、押出などによって製造する機械構造用合金鋼鋼材 マンガン鋼:SMn420~SMn443
マンガンクロム鋼:SMnC420
クロム鋼:SCr415~SCr445
クロムモリブデン鋼:SCM415~SCM822
ニッケルクロム鋼:SNC236~SNC836
ニッケルクロムモリブデン鋼:SNCM220~SNCM815
アルミニウムクロムモリブデン鋼:SACM645
JIS G4401 炭素工具鋼鋼材 熱間圧延または熱間鍛造によって製造される炭素工具鋼鋼材 SK140(SK1)~SK60
JIS G4802 ばね用冷間圧延鋼帯 薄板ばね及びぜんまいばねに使用される鋼帯及び鋼帯からせん断した鋼板。焼きなまし、冷間圧延のまま、焼入焼戻し、オーステンパの調質が含まれる。鋼種記号の末尾にはばね用を表す-CSPを付ける(付けない場合もあり)
当社ではこの規格の材料も製造可能です。
S45C~S70C、SK85~SK95、SUP10-CSP

※一部省略した形で掲載していますので、正しくはJIS規格を参照ください。

 

まとめ

以上みがき特殊帯鋼について、解説いたしました。
みがき特殊帯鋼に関するさらに詳しい情報が掲載されたテクニカルガイドは、こちらよりダウンロード頂けます。ぜひ、ご活用ください。

また、金属材料に関してお困りごとや疑問点がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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