電気抵抗を分かりやすく解説│抵抗が生じる原因や金属の電気抵抗率一覧
材料に繰り返しの応力(荷重)がかかると引張強さなどの静的強度以下でも破壊にいたることがある。
このように、繰り返し応力下で破壊する強度が低くなることを「疲れ(疲労)」といい、その時の強度を「疲労強度」と言います。
疲労強度は、静的に測定される引張強さや降伏強度よりも低い強度になることが経験的に知られているため、繰り返しの応力がかかる部品や構造物の場合、疲労強度を考慮した設計が重要となります。
なお、疲れ(疲労)による破壊には以下のような特徴がみられます。
金属材料の疲れ試験(疲労試験)は、JISの中でもいくつか規定されています。
実際の部品は形状が複雑だったり、作用応力も規則的ではない場合が多いため、同一条件での評価は難しくなります。
そのため、疲労試験では一定の振幅応力を繰り返し与え、振幅応力の大小と破壊までの繰り返し数を測定する試験方法となっています。
※当社は薄板の冷間圧延メーカーのため、主にJIS Z 2275に規定される「平板の平面曲げ疲れ試験」を用いて評価をしております。
なお、当社では2.5Nからの極低荷重制御により薄板・精密部品の評価に適した試験装置『高精度疲労試験機( Instron Electro-Puls E1000)』も所有しており、自社材料の調査はもちろん、調査内容によっては受託試験にも対応しております。
『高精度疲労試験機( Instron Electro-Puls E1000)』についてはこちら
上記試験で測定したデータを、縦軸に応力振幅:S(Stress)、横軸に破壊までの繰返し数:N(Number)で描いたグラフを『S-N曲線』と呼び、以下のようなグラフとなります。
参考までに、当社nanoSUS(ナノサス)のS-N曲線を示します。
各データ(プロット)は、試験片が破壊したもの(例:◇)と破壊しなかったもの(例:◇→)で区別して表示され、グラフの右下付近では曲線が水平になります。
水平部の応力を「疲労限度(疲労限)」と呼び、これより小さい応力では破壊しないことを示しています。
また、疲れが問題にならない(そこまでの繰り返し数がかからないことが想定される)場合は、想定される繰り返し数に対する強度である「時間強度」を用いる場合もあります。
なお、一般的に引張強さ(もしくは降伏強度)と疲労限度は比例関係にあります。
※但し、引張強さが高い場合はこの限りではありません。
また、疲労強度は、材料の表面状態(粗さ、疵、錆、硬さなど)にも大きく影響されるため、疲労限度を向上させたい場合は、表面硬さを上げる、表面に残留応力を付与(ショットピーニングなど)するなどの表面処理が有効な手段となります。
ちょこっとメモ
S-N曲線と似た言葉にS-S曲線(応力-ひずみ曲線)もあります。 S-S曲線は、縦軸を応力(Stress)、横軸をひずみ(Strain)として描いた曲線であり、引張強さを測定する際に得られます。
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