
金属の切削加工とは?│種類、特徴、メカニズム、被削性について
冷間加工(圧延)や熱処理などによって、金属材料の性質を調整することを「調質(ちょうしつ)」といい、その調質の度合いを記号であらわしたものを「調質記号」と言います。
調質の違いは、主に機械的特性にでます。具体的には、引張強さや硬さなどの強度規格が異なりますので、材料の強度を指定して購入したい場合は調質(調質記号)を指定して注文することが有効です。
なお、調質を「仕上げ」と呼ぶこともあります。
下表に当社で扱う鋼種の中から、よく使われる調質記号や間違えやすい調質記号を挙げました。
特にご注意いただきたいのは、SPCCにおける2Bは硬質仕上げであるのに対し、ステンレスの2Bは軽圧延仕上げの軟質材であることです。
それぞれの調質での具体的な機械的特性値は、鋼種名のリンクをクリックし、各ページの機械的特性欄をご確認ください。
横にスクロールしてご覧いただけます。
主な鋼種 | 調質記号 | 仕上げ状態 | 参考規格(JIS) |
---|---|---|---|
SPCC |
A |
焼鈍 |
JIS G 3141 |
SB・SD ※1 |
スキンパス(軽圧延) |
||
8B・8D ※1 |
1/8硬質圧延 |
||
4B・4D ※1 |
1/4硬質圧延 |
||
2B・2D ※1 |
1/2硬質圧延 |
||
1B・1D ※1 |
硬質圧延(強圧延) |
||
SUS301 SUS304 |
BA |
光輝焼鈍 |
JIS G 4313 JIS G 4305 |
スキンパス |
どちらも同じ軽圧延 |
||
1/4H |
1/4圧延 |
||
1/2H |
1/2圧延 |
||
3/4H |
3/4圧延 |
||
H |
硬質圧延 |
||
EH |
硬質圧延 |
||
SEH |
硬質圧延 ※2 |
||
その他 SUS |
BA |
光輝焼鈍 |
JIS G 4305 |
スキンパス 2B・2D ※1 |
どちらも同じ軽圧延 |
||
R |
圧延 |
||
炭素鋼 |
焼鈍・ナマシ・A |
焼鈍・焼なまし |
JIS G 4802 |
R |
圧延 |
||
H・ヤキイレ・QT |
焼入焼戻し |
||
B |
オーステンパ |
※1 SPCCやステンレスの調質記号S,8,4,2.1に付くBやDは、それぞれ B=ブライト肌(Bright:光沢肌)、D=ダル肌(Dull:梨地肌)と表面の仕上げ状態を表しています。
※2 SUS301のSEHはEHの範囲に含まれ、注文者の指定がある場合に適用してもいい。
ちょこっとメモ
SUS301やSUS304には、1/4H、1/2H、3/4H、H・・・など複数の調質記号があり、細かく調質を指定することが可能です。しかしながら、同じ調質記号でも適用する規格番号によって規格値の範囲が異なりますので注意が必要です。
例えば、SUS301-Hの場合、
JIS G4313では引張強さTS 1320MPa以上 に対し、
JIS G4305では引張強さTS 1270MPa以上 の規格になっています。
また、301や304は同等の海外規格も存在しますが、これらも規格によって範囲が異なりますので、調質記号のみで指定された場合は、規格番号の確認も行うことをお勧めいたします。
参考までに、SUS301とSUS304におけるJIS規格(G4313/G4305)と類似するASTM規格(A666/A240)の規格値を一覧表(一部抜粋)にまとめておりますので、以下よりダウンロードしてご覧ください。
当社では、各規格に沿った仕様での製造はもちろん、より厳しい公差やカスタムスペックにも対応しています。標準品では要求スペックを満たせない時にはぜひ当社までお声がけください。
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