technicalcolumn

金属加工における脱脂(だっし)とは? 冷間圧延に加工油が必要な理由と油の除去方法を解説

  1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. 金属加工における脱脂(だっし)とは? 冷間圧延に加工油が必要な理由と油の除去方法を解説
公開日時 : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
金属加工における脱脂(だっし)とは? 冷間圧延に加工油が必要な理由と油の除去方法を解説
脱脂とは?金属加工における脱脂(だっし)について、また冷間圧延に加工油が必要な理由と油の除去方法を解説しています
cover-technical-guide_cta.png

 

脱脂とは?

脱脂とは、金属表面に付着した加工油や汚れを取り除くための表面処理です。
当社では、冷間圧延工程で使用した圧延油を出荷前に除去するほか、めっきや樹脂塗装などの表面加工を行う前の洗浄工程としても脱脂を実施しています。



 関連記事| [脱脂の洗浄について]金属の表面処理には何がある?主な表面処理の種類と特徴を解説


ここで、当社でも使用している圧延油などの加工油について、簡単に説明します。



金属加工に加工油が使われる理由

金属加工では、金属材料と工具の摩擦によって熱や摩耗が発生し、加工精度や工具寿命に悪影響を与えます。
これを防ぐために使用されるのが加工油です。 加工油は、製品の品質向上と加工効率の改善に欠かせない存在であり、用途によって圧延油、切削油、プレス油、熱処理油などがあり、それぞれの用途にあった成分や粘度などに調整されています。


加工油の主な役割

加工油の主な役割には以下のようなものがあります。

  • 潤滑・・・材料と工具間の摩擦を減らし、加工時の摩耗や熱の発生を抑える。
  • 冷却・・・加工中に発生する熱を吸収、放散します。
  • 防錆・・・表面を保護し、錆びの発生を防ぎます。
  • 洗浄・・・加工時に発生した切粉などを洗い流し、表面を清浄に保ちます。
  • 表面粗さ・・・加工面の表面粗さに影響します。


冷間圧延時の圧延油の役割

ここでは当社の冷間圧延で使用する圧延油の役割について説明します。
冷間圧延は、室温中で上下2本のロールの間に材料を通し、ロールに圧力を掛けながら板厚を薄く延ばす(塑性変形)工程です。
この工程では、ロールと材料の摩擦や材料の塑性変形による発熱が発生しますので、以下のような目的で圧延油が使用されます。

  • 材料とロール間の摩擦を低減し、発熱を抑える
  • 材料やロールを冷却し、熱膨張や材料の変質を抑える
  • 材料の加工面を保護し、焼き付きや疵を防止する
  • 加工時に発生する金属粉などを洗い流す
  • 防錆

圧延機のワークロール

 関連記事|圧延とは?冷間圧延と熱間圧延の違い、製品例、圧延機、圧延ロールについて

 

脱脂をする材料としない材料

上述の通り、加工油には防錆の役割もありますので、材質によっては脱脂をせずに、表面に油が残ったまま製品化されるものもあります。

  • 通常、脱脂をしない材料
    • 鉄鋼・・・普通鋼(SPCC)、純鉄(SUY-1)、炭素鋼(SK、S**C材など)
    • マルエージング鋼
      ※使用条件(保管場所、期間、季節など)によっては、製品切断後、追加で油浸漬(当社では「テンプラ」と呼んでいます)する場合があります。

  • 通常、脱脂をする材料
    • ステンレス鋼(一部を除く)
    • その他、錆びにくい合金

 

※例外の鋼種や寸法・調質によっては脱脂ができない場合がありますので、詳細はお問い合わせください。



TOKKINの脱脂方法

当社の脱脂には、大きく以下の2通りの方法があります。

  • 機械脱脂・・・コイルを解いて、連続して洗浄液内を通す
  • 紙脱脂・・・材料間に層間紙を挿入しながらコイルに巻き、層間紙に油を吸わせる
    鋼種や板厚、硬さなどの仕様によって、当社にて最適な脱脂方法を選定しておりますが、いずれの方法も材料表面の残油量やその他の特性に変わりはありませんのでご安心ください。 ※表面に圧延油が残存していても問題ない場合は、油付きでの納品も可能です。 (納期やコスト面で削減が可能な場合があります)

 

お見積りにあたって

当社では、お客様の使用環境や加工方法に合わせて、材料のスペックだけでなく、脱脂の有無や梱包方法など細かなご要望にも柔軟に対応しています。
ご希望がございましたら、お見積りの際に営業担当までお気軽にお申し付けください。
お取引きの流れはこちらをご参考ください。

テクニカルガイド

技術資料ダウンロード

材料スペックや材料データが満載のテクニカルガイド(全60ページ超)を無料でダウンロードいただけます。

この記事を書いた人

TOKKIN技術コラム編集部

精密金属材料メーカーとして80年以上の実績を持つ特殊金属エクセルが運営。
長年培った知見や日々寄せられるお客様からのご相談を元に、技術開発と営業が連携してお客様の疑問や課題解決に役立つ情報を発信しています。​

テクニカルガイド

まずはお気軽にお問い合わせください。

金属材料に関して課題をお持ちの方は、まずは特殊金属エクセルにご相談ください。お客様の製品になるまでを考慮し、課題解決に向けたよりよい材料のご提案をいたします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

金属材料に関するご相談など
お気軽にお問い合わせください