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硬さとは│金属材料の硬さ試験方法、測定時の注意事項など

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硬さとは│金属材料の硬さ試験方法、測定時の注意事項など
硬さとは?硬さの単位、試験の種類、ビッカース硬さ試験の手順、原理などについて解説します。

硬さとは

材料の硬い、軟らかいという性質を数値化したもの。 
硬さは、引張強さや耐摩耗性など その他の性質を推定することができる上に、測定が手軽であることから、最も一般的に使われる材料試験です。
金属材料においても材料強度を判断する指標としてとてもよく使われます。
「硬度(こうど)」と呼ぶこともあります。

硬さの単位は?

硬さ値には単位は付きませんが、HVやHRCなどといった、硬さ試験の方法を表す記号が付きます。
例えば、ビッカース硬さの場合、Hardness Vickersの頭文字を取った”HV”が硬さ値の後ろに付きます。
同様に、ロックウェルのスケールCの場合、Hardness Rockwell Cで”HRC”が付きます。
※HVを前に付ける場合もあります。
※更に試験力(kgf)や試験時間(秒)も記載することがあります。

<表示例>
500 HV 0.5/20
  500:硬さ値
  HV:ビッカース硬さ試験
  0.5:0.5kgfの試験力で測定
  20:20秒(規定の10~15秒以外の場合のみ表示する)
  ※試験力など、特別な指定がない場合は「500HV」や「HV500」だけで表示されることが多いです。

硬さ試験の種類

硬さ試験は、大きく分けて以下の2つの測定方法があり、それぞれに圧子や測定荷重などが異なる、複数の試験方法があります。

  • 押込み硬さ試験  ・・・ 試験片の試験面に一定の試験力で一定形状の硬質の圧子を押し込み、その永久変形の大きさ(くぼみ)を数値化したもの。
  • 反発硬さ試験 ・・・ 試験片の試験面に一定のエネルギーで特定のハンマを衝突させ、ハンマの跳ね上がり量を数値化したもの。

硬さ試験の種類(一部)

硬さの種類

それぞれの試験方法の概要は下表の通りで、測定する対象物毎によく使用される試験方法があります。 金属材料の場合、ビッカース硬さ(HV)、ロックウェル硬さ スケールB,C(HRB, HRC)、ブリネル硬さ(HB)などがよく使われます。当社ではビッカース硬さ(マイクロビッカース硬さ)での測定が可能で、ビッカース硬さを標準として使用しています。

横にスクロールしてご覧いただけます。
試験方法 試験名 圧子形状 圧子材質 硬さ記号 試験方法
JIS規格番号
押込み硬さ試験
(静的)
ビッカース硬さ
Vickers Hardness
マイクロビッカース硬さ
Micro Vickers Hardness
対面角136°の正四角すい ダイヤモンド HV JIS Z 2244
ブリネル硬さ
Brinell Hardness
球(JISでは直径1mm/2.5mm/5mm/10mm) 超硬合金 HBW JIS Z 2243
ロックウェル硬さ
Rockwell Hardness
スケールA,C,D:円すい
スケールB,E~K:球
円すい:ダイヤモンド
球:超硬合金
HRA~HRK JIS Z 2245
ロックウェルスーパーフィシャル硬さ
Rockwell superficial  Hardness
スケール15N/30N/45N:円すい
スケール15T/30T/45T:球
円すい:ダイヤモンド
球:超硬合金
HR15N~HR45N
HR15T~HR45T
ヌープ硬さ
Knoop Hardness
二つの対りょう角が172.5°
及び130°底面がひし形
ダイヤモンド HK JIS Z 2251
反発硬さ試験
(動的)
ショア硬さ
Shore Hardness
ハンマ ダイヤモンド HS JIS Z 2246
リープ硬さ
Leeb Hardness
       

ビッカース硬さ試験の手順と原理

当社で測定可能なビッカース硬さの測定手順と原理についてを以下に示します。
他の押込み硬さ試験も、圧子の形状や計算式などは異なりますが、基本原理は同様で、一定荷重でどのくらいのくぼみが出来るかを基準として算出いたします。


  • ①正四角すいのダイヤモンド圧子を一定の試験力で試料の表面に押し込む
  • ②試験力を解除する
  • ③試料表面に残ったくぼみの対角線長さを測定する(2つの対角線の平均を取る)
  • ④以下の計算式を用いて硬さを算出する
ビッカーズ硬さ試験の原理

計算式

ビッカース硬さ(HV)
=定数×(試験力/くぼみの表面積)=0.1891×(F÷d2)
F:試験力 d:対角線長さの平均(d1+d2)÷2



ビッカース硬さ測定時の注意事項

外部要因により測定誤差が発生し易いため、測定時は以下の事項に注意が必要です。以下の点に注意しても双方の測定値(ミルシート値とお客様での実測値など)に大きな差がある場合は、同サンプル、同条件で双方再測定を行い、目合わせすることをお勧めいたします。

  • a) 通常、試験力が低いほど測定結果のばらつきが大きくなりやすいため、負荷可能な最大の試験力で測定することが望ましい。
  • b) 試料の厚さは、くぼみの対角線長さの1.5倍以上とし、裏面には変形が認められないようにする。
    • ※a) b) の指標として、JIS Z 2244の付属書Aには「試験片の最小厚さ-試験力-硬さの関係」のグラフが掲載されています。
      最適な測定荷重(試験力)は、このグラフから求めるか、以下の計算式でも簡易的に求めることが可能です。
      負荷可能な最大測定荷重=(硬さ値×板厚×板厚)÷4.1724

      計算例

      板厚0.15mm、400HVが予想される材料の場合
      (400HV×0.15mm×0.15mm)÷4.1724=2.15 よって、測定荷重2kgf
       なお、予想よりも硬さが低かった場合は、再計算の上、測定のやり直しが必要です。
      (350HV×0.15mm×0.15mm)÷4.1724=1.88 よって、測定荷重は1kgf


  • c) 測定箇所(くぼみの位置)は、試料の縁および周囲の測定箇所から一定以上の距離をあけなければならない。
    • (鉄鋼材料の場合、くぼみの中心間距離は3d以上、くぼみの中心と試料の縁までの距離は2.5d以上)
  • d) 試料の表面は、材料規格などに指定されていない限り、平滑で、凹凸、酸化物膜(スケール)及び異物や潤滑剤のない状態とする。
  • e) 試料は堅固な支持台の上に載せ、支持台の上には異物のない状態で試験中にずれを生じないようにする。
    • ※試験片のバリを下に向けた状態で測定すると、支持台と試験片の間に隙間ができ、測定荷重が正常に掛かりません。図のように全周のバリを上にして測定します。
orientation-of-burr-on-test-piece.jpg

各種硬さや引張強さとの相関(硬さ換算表)

各種硬さ及び引張強さにはある程度の相関関係があります。
こちらのページでは「鋼のビッカース硬さに対する近似的換算値」の表を載せておりますので併せて参考になさってください。
※換算表はあくまで目安です。鋼種や調質によっても差が出ますので、現物の数値は実測にてお求めください。

 

関連リンク

当社の硬度調整技術や測定力により、曲げ角度が安定した事例は ⇒こちら

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