
nanoMAG®で破断解消!! 引張強さ2000MPa級の軟磁性材料
スチールベルトメーカー様より、スチールベルト(エンドレスベルト)の溶接部の強度低下の課題についてご相談をいただきました。
高強度のスチール材料を使っても、溶接をすると溶接部周辺は軟化してしまう
溶接しても強度低下しない方法はないのか?
析出硬化系ステンレス鋼の「SUS632J1(15-7PH)」をご提案
高強度のSUS301-EH(HV500)やSUS304-H(HV400)材を使っても、 溶接部周辺は溶接熱により軟質状態(焼鈍状態)となり、変形や破断の恐れがある。
スチールベルト(エンドレスベルト)を製造する上で溶接は必須のため、溶接しても強度低下しない方法について 当社にご相談いただきました。
析出硬化系ステンレス鋼の「SUS632J1(15-7PH)」をご提案。
SUS632J1は焼鈍状態でもマルテンサイト組織のため、溶接後もHV310程度の高強度を維持でき、溶接部の強度低下による破断リスクを回避できると考えました。
鋼種 | 固溶化熱処理後 硬さ[HV]※ |
---|---|
SUS632J1 | 310程度 |
SUS631 | 180程度 |
SUS304 | 160程度 |
SUS301 | 180程度 |
※当社実績データからの参考値です。
また、溶接後でも析出硬化熱処理により、さらなる強度アップが図れます。(HV400以上可能)
※同じ析出硬化系ステンレス鋼であるSUS631の場合、溶接で軟化した部分とその他の部分(圧延材)では熱処理方法が異なるため、溶接後の一様な強度アップは図れません。
その他にも、SUS304と比較し、熱膨張係数が低く、耐熱性もあります。
強磁性でもあるため、磁石を利用してスチールベルトの動きを制御することも可能です。
鋼種 | 熱膨張係数[×10^-6/K] (0~100℃) |
---|---|
SUS632J1 | 10.9 |
SUS631 | 15.3 |
SUS304 | 17.3 |
SUS301 | 16.9 |
関連リンク
SUS632J1の詳しい材料特性は ⇒ こちらから
スチールベルト以外にも、バンドソーなどにも同様にお使いいただけます。 機械的性質、析出硬化熱処理の詳細は、こちらのページでご確認ください。
ばね用ステンレス鋼各種(SUS301, 304, 631, 632J1, 420J2)の特徴や鋼種比較はこちらをご覧ください。
最新記事
タグ