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板厚公差って必要なの?そもそも公差ってなに?

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板厚公差って必要なの?そもそも公差ってなに?
この記事では、板厚公差(厚さの許容差)の由来、厳しく管理できることでどんなメリットがあるのかについて解説しております。

板厚公差とは(厚さの許容差とは)

製造するにあたり特定の板厚ジャストの製造は難しいため、金属材料には板厚公差(厚さの許容差)が設けられています。
 例)規格: t0.050mm±0.003mm  ⇒ 保証範囲: 板厚は 0.047-0.053mm のレンジ間におさめる。

材質や寸法、製法によりレベルはさまざまですが、中でもSUS304やSUS301などのばね用ステンレス鋼の規格JIS G 4313では3段階の板厚公差が定められており、他の材種よりも比較的レンジが狭く設定されています。

これは、板厚がばね力に影響するためであり、JIS規格上では普通公差>ET公差>ST公差の順で厳しくなっており、注文者はいずれかを指定することができます。

横にスクロールしてご覧いただけます。

JISG4313:2011 表9-厚さの許容差より  [単位:mm]

厚さ 厚さの許容差 厚さの許容差(記号ET) 厚さの許容差(記号ST)
160未満 160以上250未満 160以上250未満 80未満 80以上250未満 250以上600未満 80未満 80以上250未満 250以上600未満
0.10以上 0.16未満 ±0.015 ±0.020 ±0.020 ±0.008 ±0.012 ±0.015 ±0.005 ±0.008 ±0.010
0.16以上 0.25未満 ±0.020 ±0.025 ±0.030 ±0.012 ±0.015 ±0.020 ±0.008 ±0.010 ±0.012
0.25以上 0.40未満 ±0.025 ±0.030 ±0.035 ±0.015 ±0.020 ±0.025 ±0.010 ±0.012 ±0.015
0.40以上 0.60未満 ±0.035 ±0.040 ±0.040 ±0.020 ±0.025 ±0.030 ±0.015 ±0.015 ±0.020
0.60以上 0.80未満 ±0.040 ±0.045 ±0.045 ±0.025 ±0.030 ±0.035 ±0.015 ±0.018 ±0.025
0.80以上 1.00未満 ±0.040 ±0.050 ±0.050 ±0.025 ±0.030 ±0.035 ±0.015 ±0.020 ±0.025
1.00以上 1.25未満 ±0.050 ±0.050 ±0.050 ±0.030 ±0.035 ±0.040 ±0.020 ±0.025 ±0.030
1.25以上 1.60未満 ±0.050 ±0.060 ±0.060 ±0.030 ±0.035 ±0.040 ±0.020 ±0.025 ±0.030

※厚さ0.10mm未満の許容差については、受渡当事者間の協定による。

ばね用薄板材料を得意とする当社では、お客様での品質安定化のため、JIS規格はもちろん、それ以上に板厚公差を厳しく管理することも可能です。

また、ばね用ステンレス鋼ではない鋼種(例 SUS316L、SUS430など)も、当社ならではの厳しい厚み公差で対応しております。

当社の具体的な板厚公差は寸法許容差のページを参照ください。

 

 

片公差(かたこうさ)・片側公差とは?

公差の記載方法には、呼称板厚を中心としてプラスマイナス(±)で記載する場合、呼称板厚を上限もしくは下限に寄せて記載する場合があり、後者を片公差(片側公差)と呼びます。

例えば、以下の 2) のような公差です。

    1. 0.100±0.005mm 保証範囲0.095~0.105mm
    2. 0.105+0/-0.010mm 保証範囲0.095~0.105mm

どちらも保証範囲は同じですが、1) は0.100mmを狙って欲しい 2) は0.105mmを超えて欲しくない という発注者の意図を含んで設定される場合もあります。

※部品図面においては、はめあわせの部品同士を同じ寸法表示にすることで、はめあいとなることを明確にするメリットもあります。

当社ではこのような個別の公差にも柔軟に対応しておりますので、ご希望がありましたら、見積依頼の際に営業にお申し付けください。

 

 

板厚 "t" は英語 "thickness"からきています

コイル材量の板厚、幅を説明する図

金属材料の寸法を表記する際によく下記のような表記を見かけます。

 例) t0.05mm x w100mm x C  0.05t x 100w x L

板厚は英語で thickness(シックネス) です。その頭文字をとって、板厚数字の前後に "t" と表記します。

ちなみに幅はwidth (ワイズ)の "w" 、長さは length(レングス)の "L" が用いられます。

TOKKINはコイル材が多いので、長さの箇所を "C"(=COIL)とよく表記します。

上記のような記号がついていると、寸法記載時にどの数字が何を表しているかわかりやすくなりますね。

 

 

TOKKIN vs. 他社 vs. JIS |板厚公差比較

当社SS規格、他社スペシャル規格、JIS規格の公差比較は下図の通りです。

JIS規格はもちろん、他社スペシャル規格と比較しても、厳しい公差を保証可能です。

JIS・他社・TOKKIN材 板厚公差比較グラフ

当社の具体的な板厚公差は高精度板厚材料のページを参照ください。

 

 

厳しい板厚公差を保証するためには?

圧延ロールの高精度なメンテナンス、材料に均等に圧力をかけるためのロール調整技術(圧下量や位置の調整など)、原材料の選定(原材料メーカーや板厚ばらつきの少ない幅中央部の採用など)等、永年培ったノウハウにより板厚偏差の少ない製品を作ることができます。

さらに圧延機に搭載されている板厚自動制御機構 AGC(Automatic Gage Control)プログラムの作動によって、より精密な板厚コントロールを実現しています。

 

 

板厚の試験方法

当社では、上述の板厚自動制御機構(AGC)によって、通板しながら全長の板厚計測を行っています。

また、仕上圧延後には前後端末サンプルをハンドマイクロメーターで実測し、全幅・全長に渡って保証公差を満足しているかも検査しています。

なお、JIS規格では、厚さの測定箇所は、帯の縁から10mm以上の任意の点、幅20mm未満の帯については幅の中央部と定めています。

 

 

板厚公差をシビアに管理することのメリット

板厚公差の偏差が少ないと、以下のようなメリットが見込めます。

      • プレス成型後の形状やばね圧の安定化により、部品のばらつき低減・品質向上による歩留りアップ、選別の手間の削減が可能となります。
      • スペーサーなどの部品では、プレス後の板厚調整目的の研磨工程を省略することが可能になるため、品質管理の簡便化、納期短縮、コストダウンにつながります。

 

 

以上、
当社は永年培った 冷間圧延技術「高精度板厚材料」を提供しています。

板厚公差や板厚のばらつきにお困りでしたら、ぜひ当社までお声がけください。

板厚公差(厚さの許容差)について解説いたしました。

 

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