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特殊鋼・炭素鋼

特殊鋼簡略マップ    特性について  

 

 特殊鋼簡略マップ

S45Cに代表される炭素鋼 及び SK-5(SK85)に代表されるの炭素工具鋼を系統図で図示してあります。

鋼種名をクリックするとその鋼種の詳細ページへ移動します。

全般的な特性をご覧になりたい方は、図の下の目次よりお進みください。

 

炭素鋼 (S○○C)

鋼種名をクリックしてください

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炭素工具鋼 (SK○○)

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特性について(目次)

1. 特徴

1.1 各鋼種の特徴一覧

1.2 仕上の定義と一覧

 

2. 加工性

2.1 曲げ

2.2 絞り

 

3. 熱処理

3.1 熱処理上の注意

3.2 炉温と材料温度

3.3 前処理と雰囲気

3.4 焼入

3.5 焼戻

 


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 1.1 各鋼種特徴一覧

分類

鋼種

特性データ

炭素鋼

(JIS G 3311)

(JIS G 4051)

(JIS G 4802)

S15C

S45C

S50C

S55C

S60C

炭素鋼は炭素工具鋼より炭素量が低めで、不純成分の規制も緩やかになっており、ある程度の強度と粘り強さを必要とするような一般的な用途に適しています。

炭素量の低いものは、生材の加工性は良くなりますが焼入れのムラが生じやすいので温度管理、冷却方法等の注意が必要です。

用途としては事務機、電気、機械などの構造部品やバネ、座金、クラッチ部品、トムソン刃、ベアリング部品などに使われています。 

 

⇒ 化学成分、機械的性質、は詳細ページへ

カミソリ鋼

 

TE2

(SKS81M)

カミソリ鋼は成分の調整及び製造履歴の厳重な管理によって焼入れ性を増し、炭化物を微細化して、切れ味耐摩耗性を高めた材料で、カミソリ替え刃、長刃、高級刃物などに使用されます。

 ⇒ 化学成分、機械的性質、は詳細ページへ

炭素工具鋼

(JIS G 3311)

(JIS G 4401)

SK2 (SK120)

SK4 (SK95)

SK5 (SK85)

SK6 (SK75)

SK7 (SK65)

炭素工具鋼は、みがき特殊帯のうち、その加工性、焼入性、製品性能、価格等、で最も広く使われています。

用途としては刃物、切削具、工具のように硬いものからバネ、ゼンマイ、メリヤス針、ホーン、メジャーテープ、座金のように弾性や靭性を必要とするものまで、あらゆる分野に使用されています。 

 

 

 

 

⇒ 化学成分、機械的性質、は詳細ページへ

合金工具鋼

(JIS G 4404)

SKS2

SKS51

SKS7

SKS2とSKS7は高炭素鋼にタングステン、クロムを添加して細かく硬い複炭化物を分散させた鋼種で、耐摩耗性高温強度に優れ、カッター、ハクソー、メタルバンドソー、等に使用されています。

また、SKS51はニッケル、クロムの添加で靭性を高めた材料で、ハンドソー、カッター等に使われています。 

高清浄鋼

M2

(SK4相当品)

M2は、高炭素(C)、高マンガン(Mn)、高クロム(Cr)で耐摩耗性アップと低リン(P)、低硫黄(S)による高い清浄度で耐久性の向上を狙っています。

また良好な熱処理特性、高い清浄度と十分に管理された材料表面により、高い信頼性を要求されるメリヤス針関連部品にご使用いただいております。 

 

 

⇒ 化学成分、機械的性質、は詳細ページへ

クロム

モリブデン鋼

(JIS G 4105)

SCM415

クロムモリブデン鋼は代表的な構造用合金鋼で、焼入、焼戻、を行うことによって中程度の強度と粘り強さが得られる材料です。

これらの素材は硬さも低く加工性に富んでおります。また合金成分の効果で焼入性がよく多少は冷却速度が遅くても焼きが入り、歪の発生も少なくなります。SCM415は肌焼鋼で通常浸炭し、表面を硬化させて使用します。

用途としては事務機、電気、機械部品、トムソン刃、チェーン部品等につかわれています

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1.2 仕上の定義と一覧

弊社の仕上の定義は下記の通りです。

仕上状態

仕上圧延率

焼鈍仕上

-- (焼鈍のまま)

スキンパス仕上(軽圧延仕上)

5%以内

ロール仕上(圧延仕上)

15~40%

強圧延仕上

35%以上

 各鋼種の仕上一覧になります。

鋼種

仕上状態

硬さ試験

引張試験

HV

引張強さN/m㎡

伸び% 

TE2

SK2

焼鈍仕上

170~210 520~685 20~32 
スキンパス仕上 190~230 570~715 10~28 
ロール仕上 250~290 735~980 2~15 
強圧延仕上 280~320

835~1080

1~3 

『刃物用材料』の詳細ページもご覧下さい。

⇒ 刃物用材料(TE-2, SK-5, RB-S, SUS420J2)

 SK4

M2

焼鈍仕上

160~200

490~645  24~35
スキンパス仕上  175~215 540~695 12~32
ロール仕上 245~285 725~970 2~15
強圧延仕上  270~310 825~1040 1~4

『炭素工具鋼』 『高清浄鋼』の詳細ページもご覧下さい。

⇒ 炭素工具鋼(SK2, SK4, SK6, SK7)

⇒ 高清浄鋼(M2)

 SK5 焼鈍仕上 150~190 460~625 26~37
スキンパス仕上  170~210 510~685 15~35
ロール仕上  240~280 725~930 3~16
強圧延仕上  260~300 805~1000 1~5

『炭素工具鋼』 『ゲージ鋼板』の詳細ページもご覧下さい。

⇒ 炭素工具鋼(SK2, SK4, SK6, SK7)

⇒ ゲージ鋼板(SK5)

SK6

S70C

焼鈍仕上

145~185 440~615 27~38
スキンパス仕上 160~200 490~665 15~35
ロール仕上 235~275 715~920 3~16
強圧延仕上 255~295 795~990 1~5

『炭素工具鋼』 の詳細ページもご覧下さい。

⇒ 炭素工具鋼(SK2, SK4, SK6, SK7)

SK7

S60C

S55C

S50C

S45C

S15C

焼鈍仕上 140~180 410~610 28~39
スキンパス仕上 155~195 460~655 16~36
ロール仕上 230~270 705~900 3~17
強圧延仕上 250~290 775~970 1~5

『炭素工具鋼』 『炭素鋼』の詳細ページもご覧下さい。

⇒ 炭素工具鋼(SK2, SK4, SK6, SK7)

⇒ 炭素鋼(S15C, S45C, S50C, S55C, S60C)

SKS2

焼鈍仕上

190~230

615~715

20~30

強圧延仕上

280~320

835~1080

1~3

SKS7

焼鈍仕上

200~240

645~735

20~28

強圧延仕上

300~340

880~1125

1~3

SCM415

焼鈍仕上

125~165

335~540

28~50

強圧延仕上

200~240

655~735

1~8

鋼種

仕上状態

硬さ試験

引張試験

HV

引張強さN/m㎡

伸び% 

 

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 2.1 曲げ

1. 曲げ加工の場合は圧延仕上のものが使われることもありますが、通常焼鈍仕上、又はスキンパス仕上のものが使用されています。 

2. 帯鋼は一般的に方向性があり、特に圧延仕上のものは方向性が強いので、圧延方向に平行な曲げは避け、できるだけ圧延方向に直角または交差するような、曲げが出来る板取を考える必要があります。

3. 切断、せん段、加工後、かえりが曲げ外面にでるような曲げ加工を行いますと、かえり部から亀裂が入ることがありますので、かえり部を曲げない面にする、またはかえり取りの後に曲げ加工を行うなどの配慮が必要です。

4. 曲げ加工の際、材料のスプリングバックは加工の程度、材料の仕上状態によっても異なりますが、型、加工法により適当な補正が必要です。

5. 曲げ加工性は材質、加工条件により異なりますが、仕上状態別におよそ次の程度の加工が可能です。

  (主としてSK5以下の低炭素鋼を対象とします)

 

仕上状態

厚さ1mm未満

厚さ1mm以上

焼鈍仕上

 

 

スキンパス仕上

 

 

圧延仕上

 

 

[注] t…板厚 R…曲げの内側半径  

[参考] 曲げ力概算

V型ダイス

 P=0.6bt2σB/L

U型ダイス

 P=0.6bt2σB (1+t / L )

[注] t…板厚 b…板幅 L…ダイス溝幅 σB…材料の引張強さ 

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2.2 絞り

  1. 絞り加工は、軽度のものとは別として、通常全方向に対する均一な絞り性が必要とされるため、焼鈍仕上またはスキンパス仕上のものが使用されています。

 

  1. みがき特殊帯鋼は、軟鋼のような著しいストレッチャーストレイン現象はありませんが、絞り限界は低めで、深絞りの場合は中間焼鈍を施して再絞りを行います。

 

 

普通平板絞りの場合:絞り率=0.4  再絞りの場合 絞り率=0.6 とされております。

 

絞り率= d / D 

d…絞られる製品の直径  D…絞る前の円板の直系

 

[参考] 絞り力概算式(丸絞り)

P=ndtσBm

[注] t…板厚  m…補正係数(普通0.4~1.0)  σB…材料の引張強さ

 

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3.1 熱処理上の注意

みがき特殊帯鋼は、ほとんど全てのものが用途に応じ適当な焼入焼戻の熱処理を施して使用されています。

この熱処理過程においてご注意いただきたい点は、以下の通りです。

 

(1)  適正な条件で均一な加熱、冷却を行なうこと

(2)  脱炭、スケール生成、高温腐食等を極力防ぐこと

(3) 焼入歪を最小にするような焼入法をとること

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3.2 炉温と材料温度

一般に熱処理を行なう場合、熱処理炉の炉温を測定し、それを材料加熱温度としていますが、

真の材料温度と測定炉温との間に大きいズレやムラが生ずることがありますので、

温度特性をよく調べて適当な温度補正や熱処理法の変更を行なう必要があります。

 

3.3 前処理と雰囲気

みがき特殊帯鋼は、高炭素になるほど脱炭しやすく、特に焼入のような高温加熱の場合は危険が増大します。

材料に汚れや異物が付着したまま加熱しますと高温腐食が生じます。このため熱処理にさきだって、

材料表面を清浄にする前処理や炉内雰囲気を調整することが必要です。

炉内雰囲気として標準的なものは焼入れにはRXガス、焼鈍にはNXガスですが、この他N2ガス、H2ガス、

AXガス等も使われています。

また中性塩浴炉、金属浴炉や炉心管、ケース等を使用して直接外気に触れないようにする方法もとられています。

 

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3.4 焼入れ

焼入には、通常上記準備焼入温度のほぼ中心値を選んで材質、寸法、形状、要求される性能、焼入方法等に応じ数十秒ないし数分間保持します。焼入れ条件は製品性能に大きく影響し焼入温度が高すぎたり、保持時間が長すぎたりしますと結晶粒の粗大化や靭牲の低下をきたし、また脱炭の危険も増えますし、逆の場合は完全に硬化しなかったり、一部軟点を生じたりしますので適正な条件を選ばなければなりません。

 

冷却には一般に油または水が用いられます。水冷の方が油冷よりも硬く焼が入りますが焼入歪、焼われ等の危険があるため、みがき特殊帯鋼の場合は一部特例を除き、油冷が採用されています。

 

焼入歪を防止するため油温を高めてマルテンパー処理を施したり、特殊な例では塩浴、金属浴中への焼入(オーステンパー処理)も行なわれています。また、リボン状の材料や単純な形状の場合は、定盤焼入やプレクスエンチング等が行なわれています。

鋼種

焼入温度(℃)

TE2

790~850油冷 (760~820水冷)

SK4

790~850油冷 (760~820水冷)

SK5

790~850油冷 (760~820水冷)

SK6

790~850油冷 (760~820水冷)

SK7

790~850油冷 (760~820水冷)

SKS51

790~850油冷 (760~820水冷)

SKS2

830~880油冷 

SKS7

830~880油冷

S70C

790~850油冷 

S60C

800~860水冷 

S55C

800~860水冷 

S45C

800~850水冷 

S15C

800~860水冷 

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3.5 焼戻

焼入を行なった材料は硬度は高くなりますが、粘り気が無くもろい状態になってしまうため、

粘り気と強度を持ち合わせた材料に仕上げるため、必ず焼戻を施さなければなりません。

焼戻条件は各々の製品が要求する性能に応じ、テストやその鋼種の焼入焼戻性能曲線等を参考にして選びます。

みがき特殊帯鋼の場合、質量が小さくまた連続的な焼戻作業が行なわれることが多いので、焼戻時間としては特に粘り強さを必要とする場合に長時間焼戻を行なうこともありますが、一般的には数分以内の短時間焼戻を行なっている場合が多いようです。また連続作業上、短時間しかとれない場合、焼戻温度をやや高めにしたり繰り返し焼戻を行なうこともあります。

しかし焼戻は、原則として高温短時間で行なうより低温長時間で行なう方が靭性が大きくなりますので、

必要以上に焼戻炉を短くしたり、焼戻温度を高くしすぎたり、時間を短くしたりすることは避けなければなりません。

また、油浴、金属浴、塩浴等により焼戻を行なう場合は、空中焼戻よりも時間を短縮することができます。

代表的な鋼種の焼入焼戻特性は次図の通りです。

 

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