普通の製造条件で作られた一般鋼材は、その製鋼過程で多少の非金属介在物の混入は避けられず、信頼性が要求される用途では時として問題になる場合があります。 MB-1, M1, M2は、SK95をベースにメリヤス針や繊維機械部品向けに独自に開発された当社オリジナル鋼種で、成分調整や製鋼工程において介在物を抑制し、清浄度を高めています。また、MnやCr、Moなどの添加や厳密に金属組織をコントロールすることで、耐疲労特性、耐摩耗性などの向上も図った材料です。
メリヤス針、メリヤス関連部品、繊維機械部品
板厚: 0.10~2.0mm ※鋼種による
幅 : 3.0~300mm (300mm以上もご相談ください)
長さ: COIL もしくは ~2,000mm
MB-1[特金独自製品] | 繊維機械部品において、長時間の連続使用および高速使用に耐えうる高耐久化を目指して開発された鋼種です。従来の転炉鋼よりも清浄度を高め、厳密にコントロールされた組織によって、耐疲労性、耐摩耗性ともに優れた鋼種です。 |
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M1[特金独自製品] | 繊維機械部品において、良好な熱処理特性と高い清浄度を持ち、Mo添加によって耐摩耗性を向上させた鋼種です。SK95と同等の加工性があります。 |
M2[特金独自製品] | SK95より高C, Mn, Crさせることで耐摩耗性を向上させ、低P, Sで高い清浄度と耐久性の向上を狙った鋼種です。 良好な熱処理特性、高い清浄度、管理された材料表面により、高い信頼性を要求されるメリヤス針関連部品にオススメです。 |
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鋼種名 | C | Si | Mn | P | S | Cr | Mo | Fe | その他 |
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MB-1 | 0.95~1.05 | 0.15~0.35 | 0.50~0.70 | ≦0.010 | ≦0.005 | 0.30~0.45 | ≦0.050 | Bal. | V ≦0.050 |
M1 | 0.90~1.00 | 0.15~0.35 | 0.35~0.50 | ≦0.030 | ≦0.007 | 0.20~0.30 | 0.01~0.02 | Bal. | |
M2 | 0.95~1.05 | 0.15~0.35 | 0.60~0.80 | ≦0.026 | ≦0.010 | 0.35~0.45 | 0.02~0.03 | Bal. | |
SK95M (参考) |
0.90~1.00 | 0.10~0.37 | 0.10~0.50 | ≦0.030 | ≦0.030 | ≦0.30 | - | Bal. |
JIS G0005:鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法(点算法)による清浄度は下表の通りです。
鋼種名 | dA | dB | dC | dT |
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MB-1 | 0.004 | 0.004 | - | 0.008 |
M1 | 0.021 | - | - | 0.021 |
M2 | 0.013 | - | - | 0.013 |
各鋼種の一般的な焼入れ条件は下表の通りです。
鋼種名 | 焼き入れ温度 | |
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油冷 | 水冷 | |
MB-1 | 780~850℃ | 760~820℃ |
M1 | ||
M2 |
一般的な熱処理(焼入れ焼戻し)後の代表的な機械的性質は下表の通りです。
用途や要求特性に応じて熱処理条件にてご調整ください。
鋼種名 | 硬さ [HV] |
引張強さ [MPa] |
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MB-1 | 550~700 | 1765~2155 |
M1 | 550~610 | 1765~2155 |
M2 | 550~700 | 1765~2155 |
一般的な熱処理条件における衝撃値は下図の通りです。
用途や要求特性に応じて焼戻し条件にてご調整ください。
当社では以下のような対応が可能です。
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炭素工具鋼は、炭素量が高めで、加工性、焼入性、製品性能、価格などの面であらゆる分野に幅広く使用される材料です。