マルテンサイト系ステンレス鋼に分類される鋼種です。
ステンレス鋼は炭素鋼のように、熱処理によって硬化するものは少なく、析出硬化系と中~高炭素クロム系ステンレス鋼に限られています。
マルテンサイト系ステンレス鋼は、ステンレス鋼でありながら炭素含有率を高めているため、炭素鋼同様に焼入焼戻処理により非常に硬化させることができます。
この材料を焼入れして使われるお客様のほとんどが、各種製品に成形加工後に熱処理を施して使用されていますが、近年、合理化を目的として加工設備や加工技術が進歩したことにより、ハード仕上げの鋼帯や焼入鋼帯のように極端に硬い材料でも連続プレス、あるいはカッティング等によるバラツキの少ない能率的な製品を作ることが可能となりました。
そのため、製品に加工してからの熱処理は品質管理や作業管理が繁雑であり、生産性も低いことから、成形加工後の焼入れに代わって焼入済みの鋼帯に素材を切り替える傾向が強まっています。
当社では、ステンレス特有の性質と硬さ、さらに高品質を求めていらっしゃるお客様のご要望にお応えし、焼入れ済みのステンレス鋼帯を提供しております。
※SUS420J2の焼入れ加工は基本当社上海工場で行ないます。
各種バネ類、刃物、直尺、コテ、ヘラ、ドクターブレード、紡績機
板厚: 0.30~2.0mm
幅: 3.0~250mm
マルテンサイト系ステンレス鋼の中で、市場性、価格などの面で幅広い分野で使われている材料です。当社の焼鈍仕上げ状態では、炭化物が完全に球状化しているため、加工も容易に行え、焼入れ性も良くなります。 | |
RB-S [特金独自製品] |
SUS420J2よりも炭素含有量を高めているため、焼入れ硬化が大きく、ステンレス鋼の中でも最高レベルの硬さが得られます。焼鈍仕上げでもかなり硬いため、複雑な加工には向いていませんが、刃物用途としては最適な材料です。 |
RB-X [特金独自製品] |
RB-Sよりもクロム含有量を高め、ニッケル、モリブデンを添加した材料です。RB-Sよりも炭素量がやや低いため、焼入れ後の硬さは若干落ちますが、クロム、ニッケル、モリブデンの添加により、優れた耐食性を有します。 |
相当する海外規格は参考となります。
RB-S, RB-Xは、当社オリジナル鋼種となります。
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鋼種名 | 日本 | アメリカ | 欧州規格 | 国際規格 | |
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JIS G4313,G4305 | UNS | AISI/ASTM | EN | ISO | |
SUS420J2 | SUS420J2 | S42000 | 420 | 1.4028 1.4034 |
X30Cr13 |
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鋼種名 | C | Si | Mn | P | S | Cr | Ni | Mo | Fe |
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SUS420J2 | 0.26~0.40 | ≦1.00 | ≦1.00 | ≦0.040 | ≦0.030 | 12.00~14.00 | ≦0.60 | - | Bal. |
RB-S | 0.58~0.70 | ≦1.00 | ≦1.00 | ≦0.040 | ≦0.015 | 12.50~14.50 | - | - | Bal. |
RB-X | 0.36~0.42 | ≦1.00 | ≦1.50 | ≦0.040 | ≦0.015 | 13.00~14.50 | ≦0.50 | 0.60~1.00 | Bal. |
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鋼種名 | 密度 [g/cm3 ] |
比熱 [J/(kg・K)] |
電気抵抗 [μΩ・cm] |
ヤング率 [GPa] |
熱膨張係数 [×10-6/K] |
熱伝導率 [W/(m・K)] |
融点 [℃] |
磁性 |
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SUS420J2 | 7.75 | 460 | 55 | 200 | 10.3 (0~100℃) |
24.7 | 1454~1510 | 常時磁性あり |
RB-S | 7.70 | 430 | 60 | 220 | - | 25.0 | - | 常時磁性あり |
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鋼種 | 硬さ[HV] |
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熱処理後(参考) | |
SUS420J2 | 450~550 |
RB-S | 600~750 |
RB-X | 500~650 |
当社の特長は以下の通りです。
剃刀、医療用刃物など、各種刃物に適した材料です。用途や要求特性に応じて鋼種をお選びいただけます。
焼入れにより非常に高い強度を得ることができるステンレス鋼です。各鋼種の違い、特性はこちらから。