ベース材(主に銅合金)へめっきを施した後、圧延と熱処理を組み合わせることで、通常のめっき材より密着性を向上させた材料です。
めっき後に圧延及び熱処理をすることで、めっき膜中のピンホールを無くすと共に、境界面で拡散結合を得ることができ、耐摺動磨耗性や密着性を向上させることができます。
通常のクラッド材(複数の金属を貼り合わせる)の製法ではクラッド部の厚みが大きくなってしまうため、貴金属クラッドではコストが高くなる傾向にあります。しかし、めっき圧延加工材の場合、貴金属クラッド部の膜厚がめっき程度であるため、貴金属の使用量の削減により大きなコストダウンが見込めます。めっき加工そのものは外注先にて行ないますが、めっきの種類毎に最適な外注先を選定し、めっき後の圧延や熱処理、そして最終的な品質保証は当社で行ないます。
めっき圧延加工材には以下のような特徴があります。
コネクター、各種接点部品、端子、ピンスイッチなどの電子部品
板厚: 0.05~0.8mm ※0.05㎜未満、0.8mm以上は要相談
幅 : 35~110mm ※110mm以上は要相談
主に銅合金(銅、黄銅、りん青銅、ベリリウム銅等)となりますが、その他もご要望により対応可能です。
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種類 | 合金番号 | 特徴 | JIS | ISO | UNS ASTM CDA |
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純銅 | C1020 | 高導電性 高熱伝導性 |
C1020 | Cu-OF | C10200 |
黄銅 | C2600 | 加工性 低価格 |
C2600 | CuZn30 | C26000 |
りん青銅 | C5191 | 高強度 バネ性 |
C5191 | CuSn6 | C51900 |
C5210 | C5210 | CuSn8 | C52100 | ||
ベリリウム銅 | C1720 | 高導電性 ばね性 |
C1720 | CuBe2 | C17200 |
めっきの種類は、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)などが可能です。 めっき厚みは0.2~2.0μmの範囲で製造可能ですが、厚いめっきはコストUPとなりますので、一般的には最終製品で0.5μm以下の仕様が多くなります。
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めっき圧延加工材 | 電気めっき | |
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密着性 | 圧延・熱処理によりベース材への拡散が起こり、密着性が良く、厳しい加工に適する。 | ベース素材への拡散は非常に少なく密着性が劣るため、厳しい加工には適さない。 |
加工性 | 密着性が良いため、曲げ加工等の厳しい加工に耐える。 | 多層の積層めっきであり、層間で剥離する可能性や、剥離、割れが発生する危険がある。 |
耐食性 | ピンホールが無いため、変色・錆が発生しにくい。 | 多孔質で微細なピンホールあるため、ベース材の腐食によって剥離する場合がある。 |
耐摺動磨耗性 | ピンホールが殆ど無いため、めっき材に比べ、耐摺動磨耗性が良い。 | 多孔質で微細なピンホールあるため、耐摺動磨耗性は劣る。 |
価格 | めっき材に追加工となるため、価格UPとなる。ただし、密着性向上やクラッドの代用と考えればコストメリットがある。 | 素材価格+地金価格+加工費で算出。 ※歩留り込み |
予備はんだとして、プレス後のはんだ付けの生産性向上が可能な材料です。
対応可能なめっきの種類はこちらを参考にしてください。