マルエージング鋼(MAS-1)
特徴
マルエージング鋼とはINCO社によって開発されたNiを18~25%含有する時効硬化型の超強力鋼です。本来航空機やロケット、ミサイルや人工衛星などの宇宙開発用機器に使われる鋼種です。一番の特徴として時効効果処理後、引張り強さが1960N/mm2得られることならびに靭性が良く優れた特徴を備えています。従来の特殊鋼や析出硬化型ステンレス鋼なども到底及ばぬ優れた威力を発揮し、高度の信頼性を要求される部品、又は高疲労強度を有するに用途に使用されます。帯鋼では精密圧延材料として小ロット製造しているのは当社だけです。
用途
ダイヤフラム、ドットプリンターバネ、自動車用無段変速機
当社のメリット
- 引張り強さ1960N/mm2以上、圧延材仕様2110N/mm2以上の超強力鋼
- 疲労強度が極めて高い。
- 圧延材料として小ロット製造しているのは弊社のみです。
| 鋼種 | 仕上状態 | 硬さ試験 | 引 張 試 験 | |
|---|---|---|---|---|
| HV | 引張強さN/mm2 | 伸び% | ||
| 290~340 | 930~1110 | 7~17 | ||
| 300~400 | 1110~1370 | 1~3 | ||
概要
MAS-1は低炭素18%Ni鋼に時効硬化元素としてCo、Mo、Ti、Al等を加えた材料で、時効硬化処理によって1960N/mm2以上の強度を得られると共に靱性も合わせもった代表的な超強力鋼で時計部品、電算機部品、精密バネ、ダイヤフラムその他の極めて高度の信頼性を要求される部品等に使用されています。
特長
- 比較的簡単な時効硬化処理のみによって1960N/mm2以上の引張強さが得られる。この強度は冷間加工を施すと更に上昇し例えば50%圧延材の時効硬化後の引張強さは2110N/mm2以上になる。
- この高強度の上、靱性もあり切欠強度や疲労強度が高い。
- 熱処理が急冷等の必要もなく簡単で熱処理による歪も極めて小さい。
- 溶接性や切削性が比較的良い。
- 冷間加工による硬化が小さい。(50%圧延でHV40前後の増加程度)
化学成分
| C | Si | Mn | PS | Ni | Co | Mo | Ti | Al |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ≦0.03 | ≦0.10 | ≦0.10 | ≦0.010 | 18.00~ 19.00 |
8.50~ 9.50 |
4.70~ 5.20 |
0.50~ 0.70 |
0.05~ 0.15 |
| 密 度 | 比 熱 | 電気抵抗 | ヤング率 | 熱膨張係数 | 熱伝導率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 8.02 Mg/m3 |
335 J/(kg・K) |
60~70 μΩ・cm |
182,000 N/mm2 |
10.1×10-6/K (20~480℃) |
19.7(25℃) W/(m・K) |
ご使用上の注意事項
固溶化熱処理は820~870℃で数分30分保持した上冷却します。Ms点が150℃近辺であるため、常温で低炭素マルテンサイト相になり30~330HV位になっています。このため靱性はあるものの一般軟質材のような加工はできません。
標準的な時効硬化処理条件は480℃3hですが、多少の温度・時間の組合せを変えることは可能です。
熱処理の雰囲気は、水素またはAXガスが適当です。
高合金鋼のため一見ステンレス鋼のように錆びにくい材料と思われがちですが、不銹成分であるクロムを含まないため、一般鉄鋼に準じた防錆処置が必要です。




